歯科医院で定期検診を受けられていますでしょうか?
歯医者は歯が痛くなってから、歯茎が腫れてから行くという方も多いと思います。
虫歯を長い間放置していたり、強い痛みが出ている場合は、虫歯や歯周病がひどく進行してしまっている場合があるので、最悪の場合、歯を抜かないといけなくなります。
あるデータでは、80歳の時点で残っている歯の数が、
定期検診に通っている方 : 平均15.7本
痛いときだけ歯医者に行く方 : 平均6.8本
というデータがあります。その本数の差は約倍になります。
これだけの歯の本数に差があれば、食べられるものも違ってきますし、全身の健康状態も大きく変わってきます。
お肉や野菜をしっかり噛むことができないと、どうしても食材が限られ栄養が偏ることで、高血圧や糖尿病、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが増えます。
歯が痛かったり、歯がなくても食べられる柔らかい食事は基本的に糖分が多いからです。
また歯が少なく噛みにくいことで、脳の活性化が起こりにくく認知症になったり、誤嚥性肺炎になりやすくなります。
「全身の健康はお口の健康から」というように、歯の本数が少ない方は、全身疾患にかかる割合が増えます。
面白いことに、80歳で歯が多く残っている方と、少ない方では
年間にかかる医療費に約18万円の差
が生じるそうです。
歯が少ないことが原因で患った高血圧や糖尿病、認知症や多くの治療に、かなりの医療費がかかってしまいます。また、歯が少なかったり、悪いことで歯科医院での医療費も増えますし、入れ歯は嫌なのでインプラント治療などになると1本数10万~の費用がかかります。
日本は他国と違い、保険制度がしっかりしているので、定期検診は約3,000円、きちんと3ヶ月に1回行ったとしても年間1万円くらいです。
他国でしたら定期検診に数万、治療となると数十万かかることを考えれば、安くて健康を手に入れられる日本はありがたいと思います。
最近では、歯への関心が高まってきたからか、定期検診を受けられる方は増えてきていると思います。
しかし、他国と比べると歯への健康意識が低いからかまだまだ受診率は低いです。
それに比例して、残っている歯の本数も少ないのが現状です。
日本は歯への関心が低かったり、治療も保険で安く受けられるため、歯科治療や定期検診、メインテナンスは優先順位が低くなっています。
医療も進んでいるため、寿命はどんどん伸びていっています。しかし、介護なしで元気でいられる健康寿命とは約10年の開きがあります。
すなわち、病気や老衰で最後の10年は誰かしらの介護が必要ということになります。できれば、死ぬ直前まで元気に、ピンピンコロリでいきたいですね。
そのためには、若いうちから、できたら子供の頃から歯科医院で検診を受け、虫歯や歯周病があっても早期に対応していくことが大切です。
美容院やジムに時間やお金をかけると同じくらい、歯に対して自己投資するのが良いと思います。
将来歯に困らないよう、健康に困らないよう、元気な老後を迎えられるように定期検診に通いましょう。
「8020運動」という言葉をご存知でしたか?
「80歳になっても20本以上自分の歯を残しましょう」という運動です
20本以上自分の歯があれば、ほとんどのものを噛むことができ、美味しいもの、栄養のあるものをしっかり食べることができます。
歯の健康が全身の健康へとつながるため、「8020」は大切です。年々平均寿命は延びていますが、まだまだ健康寿命との開きはあります。
「平均寿命」とは生まれてから亡くなるまでの期間のことで、「健康寿命」とは日常生活に制限がなく健康に生活ができている期間のことを言います。平均寿命と健康寿命の差は、男性で約9年、女性で約12年あり、多くの方は残りの約10年間は介助が必要であったり、寝たきりで過ごしているのです。
ですので、長生きをすることももちろん大事ですが、いかに健康寿命を延ばすかが課題となっています。
そのためには、若い頃から適度な運動をしたり、十分な睡眠をとったり、ストレスをなるべくためないことが大切です。
そして、
「栄養のあるものをしっかりと噛んで、みんなと食事を楽しむこと」
もとても大切なことです。
しかし、歯の本数が少ないと、しっかりとした食事を取りにくくなります。食がかたよることで、糖尿病や高血圧などのリスクが上がり、健康寿命が下がる原因になります。 しっかり噛まないと認知症になりやすいこともわかっています。 何より「食の楽しみ」が減ることで、老後の大きな楽しみが減り、生活の質(QOL:Quality of life)が低下していきます。 ですので、健康寿命を延ばすためにも、歯を多く残すようにしましょう。
歯の大切さや歯を残すことへの意識が高まってきたことで、年々残っている歯の本数は増えています。 しかし、予防先進国のスウェーデンやアメリカに比べると、まだまだかないません。
最近、「予防歯科」という言葉を耳にすることがあります。
予防歯科とは、今までのように虫歯、歯周病になって症状が出てから、歯医者さんに行って治療するのではなく、「痛くなる前に、痛くならないように予防する」という考え方です。
そのためには、
自宅で行うセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアが大切
です。
ご自身でしていただく歯ブラシや歯間ブラシ、フロスなどのセルフケアだけでは、歯垢や歯石を完全に取り除くことができません。
歯科医院で、定期的に口腔内診査やクリーニングなどの検診を受けていただき、虫歯や歯周病にならない健康な歯を維持していきましょう。
その方のお口の状態や歯ブラシの出来具合にもよりますが、通常3ヶ月に1度、歯科医院での定期的メインテナンスをおすすめしています。 時間的な制約があったり、きちんとご自身で手入れされている方は半年に一度でも構いませんし、逆に自分では不安だ、定期的な経過観察が必要な場合でしたら1〜2ヶ月に一度来ていただいている方もいらっしゃいます。
痛くないのに歯医者に定期検診で行くのは面倒だし、費用も高くなりそうだと感じられる方も多いと思います。
しかし、歯を失い、インプラントとなると何十万もかかります。 また、食事がうまく出来なくなることで、糖尿病や高血圧、認知症などのリスクもグンと上がり、結果として病院にかかるコストは上がります。
調査では歯が多く残っている方と、歯があまり残っていない方では、年間の医療費(歯科だけではない)に約20万弱の差があるという結果も出ています。 何より、歯が少なくなるとおいしい食事ができなくなることで、生活の質(QOL)が落ちてしまいます。
年々残っている歯の本数は増えており、「8020」の達成率も増加傾向にあります。
歯科疾患実態調査のよると、8020の達成率は平成23年の40.2%から平成28年の51.2%に大幅に増えております。
不自由のない日常生活、充実した老後を送るためにも、1本の歯の大切さを理解し、日々の歯みがきに加え、定期的メインテナンスに取り組みましょう。
老後に後悔しないために
みなさんは人生において後悔していることはありませんか?
若い方でしたら 、
「もっと勉強しておけばよかった」
「もっと部活の練習をしていればよかった」
ある程度年を重ねると
「もっと貯金をしていればよかった」
「もっと家族を大切にしておけばよかった」
など、誰でも多かれ少なかれ人生について後悔はあると思います。
今は体が健康で動くことが当たり前ですが、年を重ねるうちに体が衰えていきます。
しかし、元気いっぱいにシャキシャキ動いている高齢の方もいれば、寝たきりで介護が必要な方もいます。 その差はどこから生まれるのでしょうか? 生まれつき体が弱かったりと遺伝的要因もあると思いますが、やはり長年の生活習慣の結果だと思います。 現に、高齢の方で若い頃の食生活や運動習慣などを後悔している方は多いと思います。
中でも55~74歳の男女1,000人を対象とした「健康の後悔」に関するアンケート調査によると、
「若い頃に歯の定期検診を受ければよかった」
というのが堂々の第1位でした。
定期健診の重要性
「目が痛くなったら眼科、お腹の調子が悪ければ内科。」
病院に通うとなると、何かしらの病状や症状が出てからですよね。もちろん、通院が必要で定期的にお医者さんに通われている方もいらっしゃると思います。
では、歯科医院はどうでしょうか。
だいたいの方は「歯が痛い」「歯茎が腫れてしまった」など、何かしら症状が出てから歯科医院に足を運ぶ方がほとんどです。
しかし歯科は、何も症状が出ていなくても通える病院なのです。 虫歯ができていないか、歯周病が進んでいないか、お子さんでしたら歯並びは大丈夫か、など症状が出ないように、健康を維持するために定期的に通える場所です。
しみる、痛い、腫れるといった症状がなくても、ご自身では知らないうちに、虫歯や歯周病が進行していることがよくあります。
どれだけ時間をかけ、頑張って歯磨きをしていても、歯と歯の間や、歯と歯ぐきのきわの部分は、なかなかご自身ではきれいにすることができないのです。実際に歯ブラシだけでは、歯の表面の汚れは60%くらいしか取れないと言われており、デンタルフロスや歯間ブラシを併用していただく必要があります。
それでも、歯の並びが悪かったり、深い歯周ポケットの中はご自身ではケアするのが難しいです。
そこで、症状がなくても、定期的に歯科医院で磨き残しがある部分をチェックしてもらうとともに、専用の機械などを使いクリーニングを受け、きれいに保つことで虫歯や歯周病などの進行を防ぐことが出来ます。
歯を失う1番の原因は虫歯ではなく「歯周病」です。
歯周病は初期の段階では、歯磨きの時に血が出るくらいで痛みを伴わないことが多く、放置されることがよくあります。
歯ぐきが腫れる、歯ぐきから膿が出る、歯がグラグラする、痛くて噛めないといった強い自覚症状が出てきた時には、かなり進行をしてしまっている事が多いです。
歯周病により歯を支えるあごの骨が溶け、虫歯でもないきれいな歯が残すことができなくなり、抜歯となってしまう。
そうならない為にも、定期的に虫歯の確認だけだはなく、歯周病の進行具合の確認やクリーニングを受ける事は大切です。
フッ素って何?
皆さんは歯を磨く時に歯磨き粉はお使いですか?ほとんどの歯磨き粉にはフッ素という成分が含まれています。
フッ素は歯の虫歯予防に有効な成分です。
フッ素の作用としては、
- 歯の再石灰化を促進させることで初期虫歯治すこと
- 再石灰化によって虫歯になりにくい強い歯にすること
- 虫歯菌の活動を抑制すること
があります。
虫歯予防に有効なフッ素ですが、度々、患者様からフッ素の安全性を心配されることがあります。
確かにフッ素の取りすぎは中毒になることもありますが、それは多量に摂取した場合です。そもそもフッ素の化合物は自然界にも存在しています。
濃度の違いはありますが、私たちは日頃からフッ化物を取り込みながら生きています。用法・用量を守っていただけたら安全ですので安心してください。
フッ素の塗布の方法
低濃度のものと高濃度のものとがあります。低濃度のものは家庭でフッ素入りの歯磨き粉や洗口剤を使用するもので、高濃度のものは歯科医院で定期的に塗布してもらうものになります。
低濃度のものを毎日使用していただき、高濃度のものを3〜6ヶ月に1度、歯科医院で塗布することがオススメです。
歯磨き粉によってもフッ素の濃度は違います。歯磨き粉の成分表にある「フッ化ナトリウム」や「フッ化スズ」、「モノフルオロリン酸ナトリウム」がフッ素になります。ppmが濃度を表すものになりますので500ppm以上のものを使うことをオススメします。歯科医院専売品で1450ppmと濃度の高い歯磨き粉もあります。虫歯が気になる方は是非試してみてください。
フッ素塗布の年齢ですが、赤ちゃんにももちろん塗ってあげてください。
歯が生えたての時期は虫歯になりやすいです。
このフッ素の作用で歯を強化することで虫歯予防をしてあげてください。
上下の前歯が生え揃った頃に歯科医院で高濃度のフッ素を塗ってあげると効果的です。
家庭では子供用のフッ素ジェルがオススメです。まだうがいができない時期では泡立ちのないジェルを歯ブラシに少しつけて塗ってあげてください。
当院でも色々な味のジェルをご用意しています。歯磨きの嫌なお子さんも好きな味で磨くことができたら、歯磨きも少しは楽しくなるはずです。お子さんと是非選びに来てください。
ここまでフッ素の虫歯予防の有効性についてお話ししてきましたが、フッ素を塗ったからといって虫歯にならないわけではありません。日頃から正しい歯磨きをし、きちんとした食生活をすることが一番大切です。
虫歯予防のために~フッ素の役割~
①虫歯菌はどなたでも多かれ少なかれ、お口の中に存在しております。
きちんと歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスを用いても0にすることはできません。
フッ素により、残ってしまった歯垢(プラーク)の中の虫歯菌の働きを抑え、酸をつくる量を減らすことで、虫歯になりにくくします。
②飲食によりお口に入ってくる糖分であったり、飲食物に含まれる酸の影響で、一時的に歯の表面からカルシウムやリンが溶け出します(脱灰)。
通常20分ほどで、唾液に含まれるカルシウムやリンが溶け出した歯の表面に取り込まれることで、歯の表面が修復されます(再石灰化)。
フッ素にはこの再石灰化を促進させる効果があります。
③フッ素には歯の表面を酸に溶けにくくする効果があります。
特に小さいお子さんで、乳歯や生えたての永久歯は、成熟した永久歯と比べると、構造的に未熟で軟らかいので、虫歯になりやすいです。
ただでさえお菓子やジュースが好きなのに、歯磨きをなかなかうまくさせてくれない、しかも歯自体も弱いとなると、虫歯になるのは無理もありません。
そこで小さい頃から、定期的にフッ素を歯の表面に塗ることで、歯質を少しでも強化し、虫歯になりにくくしましょう。
「シーラント」という処置をご存知でしょうか?
シーラントは、フッ素塗布と並んで、子供の「虫歯予防」によく行われる処置です。
お子さんの歯で虫歯になりやすいのは、やはり奥の歯になります。
乳歯の奥歯は、意外と溝が深く、食べ物が残りやすいですし、奥の方にあるため歯磨きもやりにくいからです。
永久歯の奥歯も生えてきてしばらくの間は、高さが低い位置にあるため、食べ物が残りやすく、奥にあるのでなかなか歯ブラシがやりにくいです。
加えて、生えてすぐの歯は、歯の構造上まだまだ表面が柔らかく弱いため、虫歯になりやすいのです。
時間をかけて、唾液中のミネラル成分を吸収して、歯が硬くなるまでの間は、特に要注意です。
そこで、虫歯になる前に、生えてまもない奥歯の複雑な溝をプラスチックの樹脂で埋める処置を「シーラント」と言います。
あらかじめ深い溝をなくすことで、虫歯のリスクを大幅に下げることができます。
生え揃ってからも深い溝がないため、食べ物や虫歯菌が残りにくく、歯ブラシもやりやすくなります。溝を埋めるだけなので、噛み合わせが変わる心配もありません。
主に、生えて間もない6歳臼歯(第1大臼歯)や12歳頃に生える7番目の奥歯(第2大臼歯)に行います。
お子さんが上手に治療できるようなら、乳歯の奥歯にもシーラントは可能です。シーラントは保険適応の処置です。
ただし、シーラントを行えば絶対に虫歯にならないというわけではありません。
あくまで虫歯になりにくくするだけで、日々のきちんとした歯ブラシや規則正しい食習慣は怠らないようにしましょう。
定期的に歯科医院で虫歯チェックやクリーニングを受けて、高濃度フッ素塗布もしてもらいましょう。