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2021.01.20

歯石取りはしていますか?

歯石取りはしていますか?定期に検診受けて、歯石取りはしているでしょうか?

むし歯予防のために毎日歯磨きをしていると思いますが、奥の方で歯ブラシが届きにくかったり、歯と歯の間などにはどうしても細菌の塊であるプラーク(歯垢)が残りやすいです。

そのプラークが長い間残っていると、唾液の中のミネラル成分と合わさり、「歯石」という硬い石灰化物に変化していきます。

歯石は歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシでは取り除くことができず、表面もザラザラしているため、余計にプラークが付着しやすく、それに伴い歯石も大きくなっていきます。

そうなると、むし歯にもなりやすいですが、歯周病が進む大きな原因となってしまいます。

ですので、痛いなどの症状がなくても、歯周病予防あるいは歯周病治療のために歯石は取る必要があります。

今回は「歯石取り」について詳しくお話しさせていただきます。

歯石の分類

歯石にも種類があり、大きく2種類に分類されます。
歯茎より上の歯につくものを「歯肉縁上歯石」、歯茎より下の歯(根っこの部分)につくものを「歯肉縁下歯石」といいます。

「歯肉縁上歯石」は、乳白色〜黄色い色をしており、歯茎より上にあるため、見て確認することができます。
表面はザラザラしているため、タバコやコーヒー、飲食物の色素が付き、褐色〜黒色に見えることがあります。

歯ブラシの時に血が出ることがありますが、強い症状が出ることは少ないです。
まだ硬さや歯とのくっつく強さも弱いため、専用の器具で簡単に取ることができます。

よく歯石がつく場所は下の前歯の裏側や上の奥歯のほっぺたあたりです。
この部分には舌や頬など、唾液がよく出る唾液腺があり、歯ブラシもやりにくく歯垢が残りやすいからです。

「歯肉縁下歯石」は、歯茎の溝から出る滲出液や血液も含むため、褐色〜黒色をしています。
歯茎の中にできるため、肉眼では確認することが難しくなります。

硬さも歯肉縁上歯石と比べると硬く、歯茎の中の歯(歯の根っこ)と強固にくっついているため、簡単には取ることができません。

歯茎の中の歯石を足場に歯周病菌が繁殖し、炎症が強く出ることで、歯茎が腫れたり膿が出たりすることがあります。

炎症が進行していくと、歯を支える顎の骨がどんどん溶けていくため、歯がグラグラしてきたり、噛むと痛いといった症状が出ることもあり、抜歯となる場合もあります。

このようにして歯周病が進んでいきます。

歯肉縁下歯石は、磨けていない部分でしたら、どこにでもできる可能性がありますが、ご自身では確認できないため、歯科医院で見てもらう必要があります。

歯石取りの流れ

まずは歯周病検査により、歯と歯茎の溝である「歯周ポケット」の深さを測り、どこに磨き残しがあるか、どこに炎症が強く出ているか、どこに歯石がついているかなどを確認します。

歯石がついている場合、きちんと歯磨きができておらず、歯茎の炎症を伴っていることが多いため、まずはブラッシング指導を行い、どこが磨けていないか、どのように歯ブラシをするのか、歯間ブラシやデンタルフロスの使い方などを知っていただきます。

歯石により歯周病が進んで痛みがある場合は、抗生物質を処方したり、噛み合わせの調整や、不適合な被せや詰め物を外したりと応急処置をする場合もあります。

歯茎の炎症や強い症状が引けば、まずは歯肉縁上歯石をとるスケーリングを行います。
スケーラーという専用の器具を用いて、歯茎の上にある歯石を除去していきます。

歯肉縁上歯石を取ることで、さらに歯茎の炎症が落ち着いていくので、その状態でもう一度歯周病検査を行います。

歯周ポケットの数値や歯茎の炎症が改善していれば、歯石取りは終わりになりますが、まだ深い歯周ポケットがある場合は、その原因となっている歯肉縁下歯石を取っていきます。

歯茎の下にある歯石を除去し、歯の表面を滑沢にしていくSRP(スケーリング、ルートプレーニング)を行います。

歯茎の中に専用の器具を入れて、歯の根っこの表面を触るため、炎症が強い場合や痛みに敏感な場合は、麻酔をしながら行う場合もあります。

また、歯肉縁上歯石と違って目で見えない上に、歯茎の中の歯の表面積は大きいため、1回では終わらず、何回かに分けて行う場合もあります。

SRPが終われば、もう一度歯周病検査をして、数値や状態が改善していれば終了となり、再び歯石がついて歯周病が進まないように、定期的メインテナンスを行なっていきます。

しかし、まだ炎症がある場合は、歯周外科治療となることがあります。

歯石取り後の注意点

今まで歯石取りを定期的に行わず、大きな歯石が付いてしまっている場合は、歯石を取ることで隠れていた歯の表面が露出するため、数日の間はしみたりすることがあります。

しかし、本来の正常な歯の表面が見えるだけなので、自然としみるのは落ち着いていきます。

また、歯周病が進行し、歯茎の中の深い部分にまで歯石がある場合、取り除くことで歯茎が下がり、歯が長くなったように見える場合があります。

これは、歯周病により顎の骨が溶かされているが、炎症により歯茎が大きく腫れ、深い歯周ポケットで隠れていた部分の歯茎が、治る過程で下がってしまうためです。

これも本来あるべき歯茎の状態に回復するため、やむを得ません。

歯ぐきが下がることで、隠れていた歯の根っこの表面が露出するため、しばらくはしみが続くことがありますが、多くの場合時間の経過とともに落ち着いていきます。

今後はさらに歯ぐきが下がらないよう、ケアをしていきましょう。

歯石が付くにくくするために

まずは歯石の前段階である「歯垢」が残らないように、毎日のセルフケアが大切です。
時間をかけていても、きちんと歯ブラシの毛先が歯と歯茎の溝に当たっていなければ、あまり効果はありません。

また、歯と歯の間は歯ブラシだけではきれいにすることが難しいため、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することが大切です。

そして、自分では気がつかない歯垢が残っていないか、さらには歯石になって強固にくっついている部分はないかを、定期的に歯科医院で見てもらうことも大切です。

磨き残しがある場所は、どのようにして磨くのかの指導を受けたり、歯石がついている部分は専用の器具で除去し、クリーニングをしてもらいましょう。

定期的メインテナンスを受けるのは、3ヶ月に1度ほどが望ましいです。
3ヶ月くらいでしたら、小さなむし歯ができていても早期に対応できますし、歯石も歯肉縁上歯石までのことがほとんどなので、容易に除去できます。

あまり期間が空いてしまうと、大きなむし歯になっていたり、歯石も歯肉縁下歯石になっていると、治療回数や費用も増えますし、歯をたくさん削らないといけなかったり、歯周病により歯ぐきが下がることにもなります。

お口の健康は全身への健康へとつながります。

お口の中のケアやメインテナンスにしっかりと時間をかけて、老後もずっと健康でいられるようにしましょう。