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2020.12.18

むし歯が再発する原因と予防法

むし歯が再発する原因と予防法「昔からよくむし歯ができる」
「せっかく治療した歯が、またむし歯になることが多い」

とお悩みの方はいませんか?

親もむし歯が多かったので、遺伝だから仕方がないと思われているかもしれません。
確かに、むし歯菌が多い、体の免疫力が弱い、歯の構造が弱い、などの遺伝的な原因も少なからずあります。

しかし、むし歯ができる原因の多くは、日常における生活習慣によるものです。
今回は、むし歯の中でも特に「再発するむし歯」についてお話をさせていただきます。

むし歯が再発する原因

①きちんと歯磨きができていない

むし歯を取り除き、しっかりと治療をしても、きちんと歯磨きができていなければ、むし歯の再発の原因になります。
とくに歯と歯の間は磨き残しが多く、プラーク(歯垢:細菌の塊)が残っていると、どんどんむし歯菌が増え、歯を溶かします。

また、プラークが残ったままだと、石灰化し歯石へと変わり、歯ブラシでは取り除くことができない汚れに変わります。
歯石は歯周病を進める原因にもなり、歯ぐきが下がることで食べ物が歯の間に挟まりやすくなり、余計にむし歯になりやすくなります。

②むし歯になりやすい生活をしている

むし歯ができるには、むし歯菌がお口の中にいるだけではできません。
むし歯菌の栄養となる「糖分」がないとむし歯は進行しません。

ですので、お菓子やジュースなど、糖分をよく取る方はむし歯になりやすいです。
また、「糖分」を取る際に気をつけないといけないのが、「量」より「時間」です。

お口の中に糖分が入ると、お口の中に残っている歯垢(プラーク)の中は酸性になり、むし歯が進みやすい環境になりますが、その後20分くらいかけて、唾液の作用により中性に戻っていきます。

一日3食、間食の時間も決めて、規則的な生活をしているならむし歯にはなりにくいですが、食事の時間が不規則だったり、ジュースやお菓子をちびちび飲んだり、だらだら食べていると、お口の中が酸性の時間が長く、むし歯になりやすいのです。

③詰め物や被せ物と歯の間に隙間ができる

日常の中で、食べ物を食べたり歯ぎしりや食いしばりがあると、歯や詰め物、被せ物はすり減っていきます。

歯や詰め物、被せ物は硬さが違うため、すり減り方に違いが出ることで、歯と詰め物や被せ物の間に隙間ができることがあります。

また、詰め物や被せ物はセメントで歯につけますが、唾液や食べ物の成分により、付けているセメントが少しづつ溶け出すことでも、歯と詰め物、被せ物の間に隙間が生じます。

目に見えない隙間でも、微小な細菌は進入してしまうため、隙間からむし歯が再発(二次齲蝕)してしまうのです。

④むし歯が残っていた

こちらに関しては、歯科医院の責任になります。
どうしても深かったり、複雑に進んでいるむし歯は、目では見えにくいです。

ぱっと見で茶色いむし歯が取り除けているように見えても、実際には少しむし歯が残っている場合があります。

むし歯を取り残さないように、残っているむし歯を染め出す「齲蝕検知液」を使用したり、肉眼では見えづらい部分も「高倍率ルーペ」や「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」を用いて確認し、きちんと取り除くように心がけます。

むし歯が再発しないためにできること

①きちんとした口腔ケアを行う

まずはきちんと歯磨きをすることが大切です。
できたら1日2回以上、忙しいのであれば夜寝る前に時間をかけて、丁寧に歯磨きをしましょう。

歯ブラシだけだは歯の表面の約60%しか磨けないと言われますので、歯間ブラシやデンタルフロスも使用し、歯と歯の間もきれいにして、プラークが残らないように気をつけましょう。

②歯科医院で定期検診を受ける

ご自身では歯磨きがきれいにできているつもりでも、磨き残しがあることがあります。
歯の磨き方は、歯の並びや個々の歯によって異なるので、歯医者さんでブラッシング指導を受けるようにしましょう。

歯科医院で定期検診を受け、磨き残しがないかチェックしてもらい、自分では磨きにくいところをクリーニングしてもらうようにしましょう。

③食事や間食の時間を決める

通常時、歯に付着している歯垢は中性の状態です。
飲食によりお口の中に糖分が入ると、むし歯菌がそれを栄養として酸を作り出し、歯垢の中が酸性になります。

酸により歯の表面は一時的に溶かされた状態になります。(脱灰)

食事や間食の時間をきちんと決め、その後飲食をだらだらしなければ、唾液の働きによりお口の中は中性の状態に戻り、溶け出たミネラル成分が歯に吸収され、溶け出た部分が元に戻ります。(再石灰化)

1日の間で、歯の表面は何度も脱灰と再石灰化を繰り返しており、規則だだしく食事や間食の時間を決めていると、歯は再石灰化している時間が長くなり、むし歯にはなりにくいです。

しかし、糖分の多いものをだらだら食べたり、ちびちび飲んでいると、再石灰化が間に合わず、歯はどんどん溶けてむし歯が進行していきます。

糖分を無理に減らす必要あありませんが、食事や間食は時間を決めて規則正しく行うようにしましょう。

(歯の脱灰と再石灰化のお話はこちら↓)

④歯並びをきれいにする

歯の並びが悪いと、どうしても歯磨きが難しく、むし歯にはなりやすいです。

一度むし歯の治療をした歯でも、やはり歯と歯が重なっていて磨きにくいところは、プラーク(細菌の塊)が残りやすく、むし歯が再発しやすくなります。

また、前歯が出ていたり、噛み合わせが悪いと、お口を閉じにくく、口呼吸になってしまいます。
口呼吸だとお口の中が乾燥し、唾液の量が少なくなります。

唾液にはむし歯菌の活動を抑えたり、歯の再石灰化を強める働きがあるため、唾液が少なくなるとむし歯になりやすくなります。

見た目の改善のためだけではなく、歯を磨きやすくし、むし歯予防・歯周病予防のためにも、矯正治療により歯の並びを整えることは大切です。

⑤むし歯になりにくい材質で治療を受ける

通常、むし歯になった部分を保険の材質で治す場合、小さなむし歯であればコンポジットレジン(歯科用のプラスチック)、大きなむし歯であれば銀歯を使用して、治療します。

コンポジットレジンの場合、見た目は白くてきれいですが、プラスチックに近い材料なので強度的には弱く、すり減ったり欠けたりする場合があります。

また、よく磨いても表面は歯と比べるとザラザラしているため、プラークが付着しやすいです。

銀歯は強度があり、見た目はツルッとしていますが、歯よりは柔らかいため表面は傷がつきやく、プラークが付着しやすいです。

加えて、表面は金属イオンにより電気を帯びているため、プラークを引き寄せやすく、また電気的にくっつくため、歯ブラシでもなかなかプラークを落とすことができません。

保険の材料では制限がありますが、自由診療で使用するセラミックはむし歯になりにくいと言われます。

セラミックは陶器に近い材質なので、表面がツルツルしている上に硬いため、傷がつきにくくプラークが付着しにくいです。

また金属ではないため、プラークを寄せ付けることがりませんし、表面に付いたプラークも簡単に落とすことができます。

型取りの際も非常に精密な材料を使うため、歯との隙間がほとんどなく作れますし、歯に付ける時のセメントもほとんど溶けない材料なので、長期間使用しても隙間ができにくいです。

どうしても「セラミック」と聞くと、見た目のきれいさにばかり注目してしまいますが、むし歯になりにくく、再治療を防いで歯の寿命を長持ちさせるためにも、とても優れた材質といえます。

最近では、白い金属と言われる「ジルコニア」という材質も多く使われており、非常に硬くて耐久性があり、見た目もきれい上に、金属イオンをほとんど出さないのが特徴です。

いかがでしたでしょうか?

歯はむし歯になって治療してを繰り返すうちに、どんどん残っている歯の量が減っていき、何度もむし歯になっている歯は、将来的に抜歯となる可能性が高いです。

大切なご自身の歯を死ぬまで使えるように、むし歯を繰り返す方は、歯磨きのやり方や生活習慣を見直すようにしましょう。